
東会(都営柳沢6丁目アパート3号棟東自治会)は、東京都西東京市にある都営柳沢6丁目アパート3号棟の東棟に入居している住民によって組織されている団体です。
基本情報
住所:東京都西東京市柳沢6丁目4−3
管理開始:1994年(平成6年)2月
総世帯数:120世帯
(都営住宅:60世帯、都民住宅:60世帯)
居住世帯:113世帯(2025年8月現在)
階数:10階
一般的な自治会との違い
都営柳沢6丁目アパート3号棟東自治会(東会)は、同アパート東棟の入居者で構成される団体です。名称に「自治会」とありますが、地域の自治会というよりも、実際にはマンションの管理組合と同じ役割を担っています。
一般的な自治会は加入が任意ですが、東会は管理組合と同様、住んでいる限り加入が義務となります。これは、当アパートが公営住宅かつ都営住宅であり、公営住宅法や都営住宅条例が適用されるためです。
インターネットの記事やテレビ番組などでは「自治会は任意団体なので強制加入はできない」という意見がよく見られます。しかし、それは一般的な自治会の場合であり、公営住宅における自治会はこの限りではありません。
公営住宅の「保管義務」
公営住宅法 第二十七条
公営住宅の入居者は、当該公営住宅又は共同施設について必要な注意を払い、これらを正常な状態において維持しなければならない。
都営住宅条例 第二十二条
一般都営住宅の使用者は、当該一般都営住宅及び共同施設について必要な注意を払い、これらを正常な状態において維持しなければならない。
公営住宅法や都営住宅条例で定められている「保管義務」とは、わかりやすく言えば 入居者は共用部分を自分たちで維持・管理し、常に正常な状態を保たなければならない という意味です。
例えば、
- 階段や廊下の電球が切れたら交換する
- ごみ置き場を清潔に保つ
- 植栽や共有の庭を整える
- 廊下やエントランスの清掃をする
といったことが含まれます。
もし各世帯がバラバラに管理すると不公平や混乱が生じるため、入居者全体で団体をつくり、ルールを決めて運営する方法が最も合理的です。その団体の名称として「自治会」と呼ばれているだけで、実際の機能はマンションの管理組合に近いものです。
公営住宅自治会への加入義務
当自治会のような公営住宅の自治会は、入居時の契約書によって加入が定められています。
つまり、入居した時点で自動的に会員となり、共用部分の維持管理やルールづくりに参加する義務が生じます。
東京都、JKKと賃貸借契約を締結するときに渡される「住まいのしおり」7ページに明記されています。

当住宅における共益費について
当住宅では、住民の皆さんが支払う共益費には 2種類 あります。
1. 東京都へ(家賃と一緒に支払う共益費)
2. 東会(自治会)へ支払う共益費
- 東京都へ支払う共益費
金額:1,500円(1ヶ月)
支払い方法:家賃と一緒に支払い
以前は、共用部の維持管理を全て自治会が行っておりました。しかし、高齢化や空室の増加により自治会の運営が難しくなる恐れが出てきました。そのままでは共用部分の維持管理ができず、住民の生活に支障をきたすため、現在は東京都が一部の共益費を直接徴収し、委託事業として実施しています。
東京都が行っている内容は次の通りです(当自治会ではAとCを東京都へ委託しています)。
A 共用部分の電気・水道料金の支払い
B 共用部分の電球・蛍光灯の交換
C 草刈りや中低木の刈り込み・剪定
D 落ち葉の清掃 - 東会(自治会)へ支払う共益費
金額:1,000円(1ヶ月)
支払い方法:1年(12,000円)、もしくは半年分(6,000円)2回を銀行振込、もしくは集会時に現金支払い
自治会共益費の使用内容は以下の通りです:
・世帯内排水管(台所・洗面所・浴室・洗濯機置場・トイレ)および共用枡の年1回清掃業務の委託費
・ごみ置場の清掃・管理の委託費
・地下1階エントランス部分の清掃委託費
・各階の共用部分の清掃委託費
・理事・役員への協力金
・ホームページ運営委託費
・清掃用品などの消耗品費用
・住民向け広報誌の印刷費
・東会単体で使用する設備の電気料金
など
詳細:自治会業務
世間一般の共益費(管理費)の相場
当団地に暮らしている住民が負担する共益費(管理費)は東京都へ支払う分、自治会へ支払う分を合計して月に2,500円です。
参考に世間一般の相場を示します。多様な条件によって変わってくるので、参考になる数値データを全て示します。
*この金額は修繕積立金を含んでいない純粋な共益費です。
データ:令和5年度マンション総合調査(国土交通省 令和6年6月21日公表)
管理費収入/月/戸あたり(使用料・専用使用料からの充当額を除く)
・完成年次(平成6年):11,141円
・総戸数(120戸):11,183円
・階数(10階):11,484円
・団地型(3棟):10,394円
・地域(東京):12,412円
管理費収入/月/平米あたり (使用料・専用使用料からの充当額を除く)
・完成年次(平成6年):170円
・総戸数(120戸):162円
・階数(10階):161円
・団地型(3棟):144円
・地域(東京):194円
当団地の都民住宅の間取りが約70平米になり、10,080円〜13,580円の範囲が適正管理費となります。
公営住宅に近い賃貸住宅に「UR賃貸」があります。
参考:URの共益費について
公営住宅の問題点
公営住宅、特に都営住宅は「住宅に困っている人に安い家賃で住まいを提供する」という社会的役割を担っています。そのため、家賃は低く設定され、維持管理コストも最低限に抑えられています。
しかしその結果として、以下のような問題が指摘されています。
1. 建物や設備の老朽化
修繕や更新に十分な費用がかけられず、住環境が悪化しやすい。
2. コミュニティ環境の悪化
経済的に困窮している人が集中するため、生活トラブルや孤立などの社会問題が起きやすい。
3. 地域への悪影響
外観や治安のイメージが低下し、近隣の土地や住宅の価格を押し下げる要因となる場合がある。
つまり、公営住宅は社会的セーフティーネットとして重要な役割を果たしている一方で、維持管理の制約から「住環境の質の低下」や「周辺地域への悪影響」といった課題を抱えているのが現状です。
行政視点
・公営住宅は、住宅に困っている人に安価な家賃で住まいを提供するという社会的使命を持っています。
・しかし、家賃収入が少ないため維持管理費も最低限に抑えざるを得ず、修繕・更新が十分にできない。
・その結果、老朽化が進み、住環境改善のための投資が遅れるというジレンマを抱えている。
住民視点
・安い家賃で住めるメリットはあるが、建物や設備の老朽化による不便さを我慢する必要がある。
・経済的に困窮した世帯が多いため、生活習慣の違いやマナーの問題が発生しやすく、コミュニティの維持が難しい。
・居住環境の質が低下し、安心して住み続けることが難しい場合がある。
地域社会視点
・公営住宅の外観や治安の悪化により、周辺地域のイメージが低下することがある。
・その結果、近隣の土地価格や住宅価格を押し下げる要因となり、地域全体の発展を阻害する可能性がある。
・周囲の住民との間で摩擦や心理的な距離感が生まれることもある。
公営住宅問題の解決策
問題を解決するためには、行政や地域社会に頼るのではなく、そこに暮らす住民からも変革を起こしていく必要があります。
行政による対策
・修繕・リノベーションへの投資
最低限の修繕ではなく、省エネ改修や耐震補強を行い、建物の寿命を延ばす。
・混住型住宅の導入
低所得者だけでなく、子育て世帯や高齢者向けサービス付き住宅を組み合わせることで、偏った居住環境を防ぐ。
住民参加型の管理
・自主管理+行政補助
住民が主体的に清掃や美化活動に関わることで、環境悪化を防ぐ。
・コミュニティ形成支援
NPOや自治会と連携し、子供や高齢者向けイベントを通じて地域との交流を強化。
地域社会との連携
・地域交流スペースの活用
集会所を地域住民も使えるようにして、孤立や偏見を和らげる。
・周辺再開発と一体で整備
商店街や公園と一体的に改修することで、地域の資産価値を下げずに維持。
当自治会は、都民住宅世帯と都営住宅世帯が混在する珍しい形態の公営住宅です。両者が共に暮らすことで、それぞれの特徴や課題が浮き彫りになりますが、同時に「課題を解決できる可能性を持つ場」ともいえます。
そのため当自治会では、住環境の改善や住民同士の交流促進など、課題解決に向けた様々な取り組みを少しずつ進めているところです。