集合住宅での住民間の騒音トラブルは最も起こる数が多いトラブルです。管理会社や自治会、自治体に持ち込まれる相談は次の2つに分けられます。
・上階の音がウルサく何とかできないかと悩むケース
・その反対に音を発生源であるとして階下や階上、隣などからクレームを入れられているケース
夜間帯に音が発生する行為を控えればよいのですが、たとえばピアノ演奏などの場合は別として、夜間に室内を移動しないなんてことは不可能ですし、エアコンの室外機などについても必要に応じて稼働させている訳ですか、猛暑日や厳冬期などにおいては稼働させないことによる健康被害が危惧されます。
そのようなケースで仲裁に入る場合、下記のようなポイントは下記の3点です。
●音は常時発生している状態なのか(一過性の重量衝撃音などは対象になりません)
●どの程度の音が発生しているか
●発生している騒音を規制する法律は何か
まず騒音が常時発生しているものなのか、それとも瞬間的に発生し、その時間はいつ頃なのかを見極めることが必要です。
騒音公害の定義に「人の環境または生活環境に係る被害」とあるように、一過性のものであれば受忍限度の範囲であると判断されるからです。
次にどの程度の「音」が発生しているかを確認しなければなりません。
騒音の基準(音の大きさ)
環境省が定める「環境基準」によれば、一般的な住宅地における騒音の基準値は次のとおりです。
昼間(午前6時から午後10時):
55デシベル(dB)以下
夜間(午後10時から翌日の午前6時):
45デシベル(dB)以下
用途地域や各自治体の条例によっては多少基準が異なるケースもあるものの、これらの数値を上回る場合は騒音と認められることが多いでしょう。
騒音は専用の測定器のほか、スマホアプリでも測定が可能です。音の感じ方は人によって異なるもの。まずは実際の数値を測定して、騒音を定量的に確認する必要があります。
騒音の基準(低周波)
近年、「低周波音」と呼ばれる音に関連する不眠や体調不良などの苦情が増えています。
「低周波音」とは100Hz以下の周波数帯にある音のことです。分かりやすく説明すると、車のアイドリング音や、エアコン室外機、省エネヒートポンプ給湯機の稼働音、古い冷蔵庫のモーター音などが、この低周波音を出しやすいと言われています。
低周波音は、耳に微かに聞こえる程度の音(全く聞こえない場合もある)で、低い唸り音に近いものです。隣人が発するテレビやステレオの音量による騒音とは違って、低周波音は壁や塀などの遮蔽物を通り抜けやすく、耳元に忍び寄ります。調べてみると発生源が離れた場所であることもあります。
そしてこの低周波音による影響の一つに不快感や圧迫感などの人への影響(心身に係る影響)があるとされています。
騒音に悩む時にとるべき対応方法
まずは、騒音のレベルが基準となる限界値を超えていないかどうか客観的に示す必要があります。
基準値未満の騒音を理由に警察に通報したり、苦情を直接言うことで逆に損害賠償請求をされる可能性があります。
1.騒音計を使って騒音レベルの測定
貸し出し元:西東京市環境保全課
2. 基準値を超えている場合:
測定結果と一緒にJKKへ提出して相談します。
3. 基準値を超えていない場合:
不安神経症・強迫性障害などの可能性があるために、現在の部屋での生活は厳しいと言えます。西東京市の「からだと心の健康相談」などに相談し、診断書をもらう。診断書と騒音レベルの測定結果をもとに部屋の変更などを検討するために、JKKや東京都住宅政策本部へ相談。
騒音に悩まれているならば、解決に向けて自らが動く必要があります。ちょっとした足音やドアの開け閉めが気になるレベルであれば、集合住宅にて生活することは厳しいので、戸建てに引っ越すことを勧めます。
騒音を減らすための工夫
【ドアの開け閉め】
ドアを閉める時に、衝撃が壁のコンクリートを伝わって近隣に響くことがあります。
1 ドアの閉まる速度を調節
2 ドアが当たる箇所に吸音シートを貼る
【洗濯機の振動】